20210724







今日はggのメンバーのTさんこと花ちよさんの作品が展示されている上田市海野宿近くにある茶楽庵さんへ行って、ちよさんにインタビューさせていただきました。6月下旬から8月10日まで展示されている今回の作品。水彩画とともに、最近熱心に制作されているコラージュ作品についてなど、ちよさんワールドを覗かせていただきました。

私(以下N):まずは今回茶楽庵さんで展示された経緯を教えてください。

ちよさん(以下Tさん):いつも様々な方が展示されている茶楽庵さんですが、今年の3月に私も初めて個展をさせていただきました。そのあと6月下旬から8月までの間、壁面が空く時期があるということで店主の方から「また作品を展示してもらえないか」とご依頼をいただいて今回の展示になりました。最初ご依頼を受けた時は、梅雨の時期だったので、紫陽花やカエルなど梅雨っぽいコラージュを展示していたのですが、梅雨が明けて「今度は夏らしい展示もお願い」と言われこのようなモチーフになりました。

N:今回の作品はどんなイメージで制作されたのですか?

Tさん:全体的には自分の小さい頃の記憶です。木の右下の男の子はウチの孫をモデルにしました。作品の方が実際より少し年齢は上なんですが、今しかしない、孫の子どもらしい仕草を残しておきたくて。真ん中の女の子は自分の小さな頃のイメージです。

N:女の子はご自身のイメージなんですね。

Tさん:そうですね。自分の昔の頃って、夏って言えば虫取りで、網を持って虫を捕まえに行って遊んでました。店主から「夏らしいものを」とリクエストをいただいて、考えていて思い描いたのがこのイメージでした。なかなかいまの子どもたちは、自分から虫取り網を持って虫を捕まえに行くこともないから。それが良いとか悪いとかではなくて、子ども本来の、のびのび感が虫取りにはあるなって思って。それに、自分も今、田んぼとか畑とかやっていて、虫が来たりすると「あ!」ってワクワクするんですよね笑。そんなわくわく感が現れれば良いなって思って。田んぼをやってると、いろんな虫と出会ったり、草とか、生態系とか、お米だけではなく色々な発見があるんですよね。草も、昔は本当に厄介モノに思っていたんだけど、以前炎天下の中、草の上で素足になったことがあって、その時ひんやりしたんですよ。そのひんやりした感触を感じた時に、ああ、これも地球に必要なんだなーって感動して。アメンボとかタニシとかミミズとか、他にも面白い虫がたくさんいて。子背い虫っていうのもいて、その虫はオスの背中にメスが卵を植え付けて、オスが子育てをするんですよ。なかなか姿を見せない虫だから写真にも撮れないんだけど。そんな風にいろんな生態があって田んぼって面白いですね。

N;ちよさんのInstagramも虫や田んぼや風景の写真が満載で、癒されますもんね。

Tさん:自分が癒されてるんですよ 笑。

N:ちよさんのInstagramを見てると、投稿される写真がちよさんの制作される作品の世界観にとても繋がってるんだなって、いつも感じます。

Tさん:頂いてると思いますね〜、田んぼの風景とか虫たちから。

N:最近はコラージュ作品を多く制作されていますが、今後どんな作品を作りたいとお考えですか?

Tさん:露がキラキラしている田んぼの苗とか、自分が綺麗だなって思うものを作品にできたら良いなって思いますね。あと草が何かの字になっていったりとか…。

N:字?

Tさん:うん、そうですね。

N:以前の個展でもオノマトべをテーマに制作されていたり、ちよさんの中で言葉ってどんな位置付けなんですか?

Tさん:文章とかなかなか上手く書けないんですが、以前より短歌を習っていて。短歌を作る時って、どこを切り取るかっていうのが大切になってくるんですが、それって、絵を描くときと同じだなあって思います。

N:確かにそうですね。

Tさん:私が作る短歌は現代語調で、身の回りの出来事や孫とか猫とか出てくるような短歌なんですが、絵のテーマもやはり同じような目線で日常を切り取っているんですよね。何を見ているか、というところは一緒な気がします。

N:今後しばらくはコラージュ作品を続けられますか?

Tさん:そうですね。紙に無造作にインクを滲ませて色々な表情をつくるんですが、自分が意図しないでできる綺麗な滲みだったり、カタチだったり、それをまた切り取って、貼って、という作業を繰り返すコラージュは、ただ無心になれるので楽しいんですよね。絵の場合は、これを描こうと思って描きながら、なかなか描けないジレンマを感じることもあって、大変な部分もあるんですが、コラージュはそこを無くして楽しくできる。自分にあってるなあと思います。

N:実際に今回の作品の細部を見て見ても、本当に発色が綺麗で、近づいてみると、エンボスもしてあったりとても工夫されてますね。

Tさん:花弁や葉っぱに、ちょっと線を入れるだけで、ニュアンスが出たりしますよね。細かな作業は大変ですが、楽しいです。







日頃のggでは時間も決まっていて、なかなか話せないようなお話を、今日はたっぷりお聞きすることができました。ちよさんの作品の世界観は、ちよさんの日常のキラキラ光るヒトコマひとこま。それが綿々と繋がって、この優しくて可愛らしい世界を作り上げている。それが良くわかるインタビューでした。ちよさんのお人柄と茶楽庵さんのカウンター越しに見える夏の景色に満たされた午後。良い時間をありがとうございました。これからも応援しています!